2019.10.06
第2の標 『子どもの自主性を尊重する』とは
昨今、子育てや教育の世界で、「子どもの自主性を尊重しましょう」と言われますが、これを安易に解釈している人が多い様に感じます。自主性を持った大人になる様に育てることは非常に重要です。ただ、それに必要なこととして、『幼少期に、子ども自身の自主性に任せる』ということは、実は正しい教育ではない、と考えています。
自主性を持った大人に育てる為には、子どもにはいろんなことにチャレンジさせて『失敗』と『成功』を経験させ、様々な能力を身に付け、力をつけ、世界と視野を広げ、自ら判断する上で必要な基礎的な能力を培わせる必要があるのです。決して『成功』体験だけが必要な事でも、重要な事でもありません。『失敗』の経験は学びの機会を生む、とても必要な経験なのです。
幼少期に、子どもの志向に任せてその選択を子ども自身に委ねれば、その時点での子どもの視野や経験でしか判断できない方向に子どもは進もうと考えます。もっと大きな世界観や知識、経験があれば、違う判断ができるはずなのに、です。
つまり幼少期の教育とは、大人が子どもに対して、最終的に自主性を持って生きて行けるだけの経験を身に付ける為に、今、必要とされる経験や知識を与えること、です。誤解を恐れずに言えば、幼少期の教育とは、導くべき大人が子どもにとって必要な経験を強制的にであっても与えることであり、必要な知識を与え、経験させ、理解させ、記憶させることが勉強となります。その結果、幼少期から、失敗することの価値、成功した時の喜び、失敗から成功に向かう意思の持ち方、頑張ることの意味、忍耐力の強さを養い、経験することになります。
このようにして子ども自身が、何度も挑戦して、失敗も成功も経験した、という自覚を持てば、一定の成長をした時にようやく「どうせ行動するなら、大人から言われるのではなく、自分で課題を設定したい!」「だって、チャレンジすることも、失敗することも、失敗から成功へ導くことも経験してきたのだから!」という自信が生まれ、子ども自身が持つべき自主性となります。
最終的に私たちは、『教育を担う大人』であるべきであり、私達が責任と自信を持って判断し、子どもに課題を与え、その結果、いつか自分達から巣立っていった時に初めて、その子自身が自ら課題を設定する、自主性のある大人に成長していくのです。
幼少期の教育とは、その時点での子どもの自主性を尊重することで、大人が甘んじることであってはならないと考えます。